花粉症(アレルギー)の予防・改善には、発酵食品を食べることで多様な菌を体内に取り込むことが良いといわれ、乳酸菌や納豆菌などの摂取が勧められています。それらの菌に加えて、これまではあまり知られていなかった酢酸菌の摂取が効果的であることが、最新の研究で明らかになりました。
ホコリやハウスダストによる鼻の不快感について、酢酸菌を毎日摂取する臨床試験が行われました。その結果、摂取4週間後にはホコリやハウスダストによる鼻の不快感が改善されました。
出典:吉岡ら, 酢酸菌(Gluconacetobacter hansenii GK-1)は健常者の鼻の不快感を軽減する-無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験-, 2019を一部改編
花粉症による鼻づまりの不快感について、酢酸菌を毎日摂取する臨床試験が行われました。
その結果、摂取4週間後には花粉症による鼻づまりの症状が改善されました。
出典:上條ら, 酢酸菌 (Gluconacetobacter hansenii GK-1) はスギ花粉による鼻の不快感を軽減する-無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験-, 2019を一部改編
酢酸菌は、免疫細胞に備わっている免疫を活性化させるスイッチである「TLR2」と「TLR4」の両方を押せることがわかっています。特に、酢酸菌が「TLR4」を押せる希少な発酵食品の菌であることが研究者の注目を集めています。「TLR4」は、免疫力を上げるといわれる乳酸菌や納豆菌でも押すことはできません。また、菌との接触が少ない清潔な生活環境に生きる私たちは「TLR4」を押せる菌と接触する機会がなかなかありません。
今回の研究結果から、酢酸菌が「TLR2(乳酸菌や納豆菌などが押す免疫スイッチ)」と「TLR4」の2つのスイッチを押すことで、免疫バランスを整え、免疫の誤作動や過剰反応を抑制し、花粉症などのアレルギー症状を抑えるということが明らかになりました。このことから、酢酸菌を取り入れることで、アレルギーに強い体質作りが可能と考えられます。
※免疫を活性化するスイッチTLRは、現在1-11まで発見されており、各TLRによって、感知する成分が異なる。