2025.08.20酢酸菌コラム
免疫のスペシャリストも注目! “3つすべての免疫”に働きかけ、体を根本から元気にする酢酸菌の力。

日本免疫予防医学普及協会講師として、講演会などを通じ多くの人に「免疫」の重要性を伝えている飯沼一茂さん。免疫のスペシャリストである飯沼さんに、免疫と酢酸菌の関係や、腸内環境と健康とのつながりについてお話を伺いました。
飯沼 一茂さん
純真大学客員教授・医学博士・日本免疫予防医学普及協会講師
立教大学理学部卒。米国製薬会社でリサーチフェローとして勤務。大阪大学医学部にて医学博士を取得。国立国際医療センター・肝炎免疫研究センター客員研究員などを歴任。著書に『それでは実際、なにをやれば免疫力があがるの?』(ワニブックス)、免疫アップの最強セットリスト(ワニブックス)、倍速老化(サンマーク)などがある。
免疫予防医学の第一人者である先生に、あらためてお伺いします。そもそも「免疫」とは何ですか。
免疫とは、体に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を排除するシステムのことです。風邪(80-90%がウイルス性)のウイルスが体内で増殖し、感染することで起こりますが、私たちの体ではこれを防ぐために、抗体というタンパク質や免疫細胞が働いてくれています。そして、この免疫システムには3つの種類があります。
まず、目・鼻・口・腸などの粘膜により病原体の侵入を防ぐ「粘膜免疫」。次に、侵入した病原体を破壊し排除する、生まれつき備わっている「自然免疫」。そして、侵入した病原体を記憶し、再び侵入してきたときに素早く対応する「獲得免疫」です。実は、この3つすべての免疫システムにおいて、酢酸菌が大活躍することが近年の研究で明らかになってきています。
“3つすべての免疫”に作用する酢酸菌を摂取することで、病気になりにくい体になるということですか。
そうですね。酢酸菌の働きによって、より免疫の効果が高まり、病気になりにくくなるという研究結果が出ています。まず、酢酸菌を摂取すると粘膜に病原体を防ぐ「IgA抗体」というタンパク質が増加することがわかっています。さらに、酢酸菌は自然免疫として活躍する好中球やマクロファージといった免疫細胞を元気にしてくれるほか、獲得した病原体情報をほかの免疫細胞に伝える樹状細胞(pDC)を活性化することもわかっています。
樹状細胞(pDC)が指令を出す免疫細胞のひとつ「制御性T細胞」は、感染症だけでなく、生活習慣病(糖尿病や脂質異常症など)やがん、動脈硬化症などの慢性疾患(非感染症)の進行を抑える役割を担っています。慢性疾患は、免疫細胞が健康な細胞にまで攻撃してしまうことが一因なのですが、制御性T細胞はこの過剰反応を抑える「免疫のブレーキ役」なのです。
なお、免疫細胞の過剰反応は、現代の「過度な衛生環境」も要因のひとつです。あまりにも清潔で殺菌された環境では、免疫細胞が多様な菌から刺激を受けられず、免疫システムの発達が損なわれると考えられています。その結果、制御性T細胞も本来のブレーキ役を果たせず、現代人が昔の人よりもアレルギーなどの慢性疾患になりやすい理由となっています。
慢性疾患を防ぐには、いかに制御性T細胞を減らさず元気に保つかが重要です。とくに生活習慣病のリスクが高まる40代に制御性T細胞が減少し始めるため、その働きを維持・向上させることが健康維持の鍵となります。そのためには、腸内環境を整えてさまざまな腸内細菌に活躍してもらうことが大切なのです。
「腸活」は免疫細胞を元気にし、生活習慣病予防にもつながるのですね。
腸内には体全体の7割もの免疫細胞が集まっています。ですから、腸にいる免疫細胞たちが元気になれば、細菌やウイルスに負けない体になると同時に生活習慣病の予防にもつながります。つまり、腸内細菌が元気になると、免疫細胞も元気になり、体が元気になるということ。さらに近年の研究では、腸内環境が整っている人ほど、認知症やうつ病になりにくくなることもわかってきました。つまり、免疫システムを司る腸は、心と体の両方に大きな影響を与えているのです。
腸内環境を整えるには、抗炎症作用のある緑黄色野菜や青魚、ナッツ類、発酵食品、オリーブオイルなどを積極的に摂取するのがおすすめです。たとえば、酢酸菌が豊富なにごり酢とオリーブオイルを使ったドレッシングで毎朝サラダを食べる習慣は、まさに「腸活」。そのほか、ヨーグルト(乳酸菌、ビフィズス菌)や納豆(納豆菌)など、ほかの発酵食品の菌たちとの相乗効果により免疫細胞がより活性化されるので、さまざまな種類の菌を積極的に摂取することを心がけましょう。
食事以外に、実践すべき免疫力アップの生活習慣はありますか。
まず大切なのは、心にゆとりを持ちストレスをためないこと。ストレスは腸の働きを悪化する要因のひとつです。また、腸の蠕動運動を促すために、ウォーキングなどの軽い運動を日常に取り入れることも有効です。そして最も重要なのが睡眠です。睡眠中に分泌される成長ホルモンが免疫細胞を生成・修復し、免疫細胞を活性化します。とくに夜10時から深夜2時の間はぐっすりと眠ると効果的です。
また、睡眠には腸内活動を休ませるという効果もあります。腸内では日中、免疫細胞が細菌やウイルスと絶えず戦っているため、夜間に腸を休ませるためにも、夕食は早めに済ませることをおすすめします。早寝早起き、バランスの取れた食事、適度に体を動かす。こうした基本的な生活習慣こそが、免疫力を高めます。しかし、その当たり前のことが難しいのが現代社会かもしれません。だからこそ、できるだけ腸内環境を意識して、日々の生活を見つめ直すことが大切だと思います。